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ジョアンが引き出しを開け中身を取り出すのを、アーネストが阻止している。だけど、ジョアンのほうが行動が素早く、するっと引き出しから何かを取り出した。
そこにアーネストの手が伸びて、奪い返そうとするものだから、手にしたものが机の上に散乱する。
「……え?」
「な! お、おい!」
アーネストが慌てて散らかった手紙をかき集めるものの、オレリアは二通、手にした。
「え? これって、わたしが……」
これは確か、オレリアが十年前に書いた手紙だ。当時、十歳のオレリアがアーネストに向けて書いたもの。宛名と日付がそれを示している。
「ね? このおっさん。若奥様からの手紙を、後生大事にとっておいたわけですよ」
「お前は黙ってろ。それよりも、ここから出ていけ」
アーネストがジョアンの背を押して、部屋から追い出した。すかさず扉に鍵をかける。
オレリアは手にした手紙のうちのもう一通に素早く視線を走らせた。
『オレリアへ
十歳の誕生日おめでとう
こちらはまだ慌ただしく、当分、そちらへ戻れそうにない――』
トクンと胸が音を立てた。
「アーネストさま?」
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