第二十話

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 いつの間にかアーネストはオレリアの背後に立ち、後ろから手紙をのぞき込んでいた。 「それは、オレリアの十歳の誕生日のときに書いた返事だ」 「お返事? わたし、お返事は一通ももらっておりません」 「そうだな。出してないからな」  そのようなことを自信満々で言われても。  アーネストは上からひょいっとオレリアの手の中の手紙を奪い取った。 「あ、返してください」 「これは俺のものだ」  アーネストはささっと手紙を机の中にしまい込み、鍵をかけた。 「それは……お前に買ったものだ」  机の上の首飾りを指さす。 「十七歳の誕生日に贈ろうとしたものだな」  執務席の椅子に座ったアーネストは、何事もなかったかのように淡々と言葉を続けた。 「え?」 「他にもまだあっただろう? 九歳から十九歳まで、十一個のプレゼントがあったはずだが?」 「あ」  あったかもしれない。とにかく、女性もののアクセサリーとかリボンとか下着とか。 「あれも全部、お前に贈ろうとしたものだ」 「だったら、どうして贈ってくださらなかったのですか?」 「それは……今となっては、俺にもわからん」
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