248人が本棚に入れています
本棚に追加
いつの間にかアーネストはオレリアの背後に立ち、後ろから手紙をのぞき込んでいた。
「それは、オレリアの十歳の誕生日のときに書いた返事だ」
「お返事? わたし、お返事は一通ももらっておりません」
「そうだな。出してないからな」
そのようなことを自信満々で言われても。
アーネストは上からひょいっとオレリアの手の中の手紙を奪い取った。
「あ、返してください」
「これは俺のものだ」
アーネストはささっと手紙を机の中にしまい込み、鍵をかけた。
「それは……お前に買ったものだ」
机の上の首飾りを指さす。
「十七歳の誕生日に贈ろうとしたものだな」
執務席の椅子に座ったアーネストは、何事もなかったかのように淡々と言葉を続けた。
「え?」
「他にもまだあっただろう? 九歳から十九歳まで、十一個のプレゼントがあったはずだが?」
「あ」
あったかもしれない。とにかく、女性もののアクセサリーとかリボンとか下着とか。
「あれも全部、お前に贈ろうとしたものだ」
「だったら、どうして贈ってくださらなかったのですか?」
「それは……今となっては、俺にもわからん」
最初のコメントを投稿しよう!