第二話

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 身体を起こしたところで、オレリアは痛みを堪えるような声をあげた。 「オレリア様?」 「だ、大丈夫。なんでもない」  顔をしかめて答えてみたものの、なんでもないような状態ではないとメーラが察したようだ。 「背中が痛むのですか?」  大丈夫と言いたいのと、気づいてほしいという思いが絡まり合って、何も答えられない。  すぐにメーラが寝間着の背中側をめくると、顔をしかめた。 「こんなに、ひどいことを……」  メーラも悔しそうに唇を噛みしめる。 「オレリア様。すぐに気がつかずに申し訳ありません」  ぶんぶんと首を左右に振ると、その勢いによって目尻にたまった涙が溢れそうになった。その涙が痛みからくるものなのか、メーラの優しさからくるものなのか、わからない。  喉の奥がツンと痛くなる。 「お薬を塗りましょうね」  メーラは一度部屋を出て、どこからか軟膏の入った瓶を持ってきた。それを背の傷のある場所に、たっぷりと塗られる。  オレリアの背にできた傷は、鞭によって打たれたもの。そしてオレリアを鞭で叩くのは、教育係のプレール侯爵夫人。 「オレリア様、お労しや……」  悲しみが滲みでる声色で、メーラは呟く。
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