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タオルを奪い取って、濡れている髪をやさしく拭う。
「なるほど。髪を濡らしたままでいれば、オレリアがこうやって世話を焼いてくれるんだな」
鼻先がくっつくくらいに顔を近づけられ、今度は心臓がドキドキと速くなる。
「あ……アーネストさま。ミルコ族は自分のことは自分でするが基本ですよね」
手にしていたタオルをアーネストの頭にぽふっとかけたオレリアに、アーネストは笑いかける。
「自分のことは自分でやるが、家族のことを家族で助けるのもミルコ族だ」
頭をオレリアに寄せて、拭いてくれと言っているかのようにも見えた。
「わたし、ご飯の準備がありますから。アーネストさまも、身体を動かしてお腹が空きましたよね」
「残念。逃げられたな」
アーネストは髪を拭いてから、席についた。オレリアはせっせとテーブルの上に朝食を並べる。
「オレリア、今日はどこを見てみたい?」
アーネストはソーセージを挟んだパンを、手づかみで豪快に食べる。
「どこ、と言われましても、よくわかりません。実は、働いていた食堂と三区の家くらいしか行き来をしていなくて」
「一人で暮らしていたとき、お前の食事はどうしていたんだ?」
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