第二十二話

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「だが、あのとき。一度、お前を送ったことがあったから、すぐに助けられた」  偶然であったとしても、あの場にアーネストが駆けつけてくれてよかったのだ。やっぱりこの手は離したくないと、オレリアはきゅっと力を込める。  アーネストも何か思ったのか、少しだけ鉄紺の瞳をオレリアに向けたが、すぐに広場のほうを見る。 「お、今日は道化師がいるみたいだな。屋台も出てる」  オレリアも広場に顔を向け、噴水の前でなにやら芸をしている道化師に心を躍らせる。 「アーネストさま。わたし、あれを見たいです」  首都サランは、人が多くごちゃごちゃとしている街であるため、外で芸をすることは禁じられている。  トラゴス国にいたときは、住んでいた小屋の周辺しか足を延ばしたことがないため、あそこの王都がどのよう街並みみであるかなど、まったくわからない。 「ああ、行ってみよう。だが、オレリア……」 「はい」 「俺のことをアーネストと呼べ。せっかく、変装してきているのに、お前がそうやって俺を呼んだら他の者に知られてしまう」
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