第二十三話

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 剣を飲み込み終えた道化師は、今度はその剣を口からゆっくりと引き出していく。飲み込んだときと同じようにゆっくりと。  すべての剣が出てきたときには、次から次へと小銭が道化師に向かって投げられた。  オレリアも夢中で小銭を投げる。  それからも道化師は演技を続けた。三十分ほど続いただろうか。そこですべての演技が終わった。 「すごかったです」  アーネストの腕にひしっとしがみついて、ぴょんぴょんと飛び跳ねる。気持ちが浮ついて、自然と身体も跳ねてしまう。 「そうか。俺としてはお前がそうやって喜んでいる様子を見るほうが、楽しいが」  人がさぁっといなくなっていく。青い空の下、噴水だけはかわらず水を噴き上げていた。 「では、次のところへ行こうか」  アーネストがどこを案内してくれるのか、オレリアは楽しみで仕方なかった。  ただ街の仲を歩いているだけなのに、アーネストが隣にいるだけで特別な出来事のように思える。他にもたくさんの人々が、街を行き交っているのだが、ここだけが夢の世界のようにも見えるのだ。 「二十歳の誕生日プレゼントを送っていなかったな」
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