第二十三話

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 それらをすべて一度にもらったオレリアだが、今は首飾りを身に付けている。恐ろしいことに、ドレス類はサイズがぴったりであった。それを問い詰めたら「ダスティンに聞いた」とのことで、そんなふうに気にかけてくれた事実にまた胸が熱くなった。ちなみに、十六歳で身体の著しい成長が止まったオレリアは、そこから服のサイズがかわっていない。かわったのは胸とお尻の大きさくらいで、下着だけは毎年新調していたが、それでも一年前に買ったと思われる下着のサイズは、今のオレリアにもぴったりだったので、ちょっとだけ驚いた。 「指輪を贈りたいのだが」  結婚の指輪はサイズが合わなくなって、鎖に通し首からかけていた。だから、男から言い寄られたときにはそれを見せたのだが、やはり効果は薄かった。むしろ、ないに等しく、結局あのようなことになったのである。 「嬉しいです」 「そうか」  穏やかな声で呟いたアーネストの手は、あたたかい。ふと、今になって気がついた。彼はずっと、歩調をオレリアに合わせている。足も長くて歩幅も違うのに、オレリアがいつものペースで歩いていたのは、アーネストが合わせてくれているから。
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