プロローグ

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 誕生日がこようと、結婚記念日がこようと、贈り物すら届かなかった。  だからといってオレリアは何かの贈り物が欲しいわけではない。ただアーネストが元気であれば、それでいい。  遠い場所にいるのだから仕方ない。仕事も慌ただしいのだろう。  そう思いつつも、手紙の一通も書けないほど忙しいのだろうかと、心の片隅では考えていた。  だけどアーネストは、定期的にガイロの街の様子を報告してくる。その相手はもちろん、この国――ハバリー国の国王ダスティン。  ハバリー国はダスティンとアーネストが中心となって建国された新しい国である。  王となったダスティンが首都を中心に国をまとめ、アーネストは国境を守っていた。さまざまな民族が集まった多民族国家であるため、国内の統治が行き届いているとはまだまだ言いがたい。  だからアーネストは、オレリアをガイロの街へ連れていくのは危険であると言い、彼女をダスティンとマルガレットに預けて、部下と共にガイロの街に滞在しているのだ。
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