第二話

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「メーラ……」 「さあさあ、オレリア様。お食事にしましょう」  幸いにも食材は届けてもらえる。それに、小屋の裏に小さな畑を耕して、芋類を育てていた。たまに悪天候などで食材が届かない日もあるが、そのようなときは、蓄えていた芋をふかして食べる。この芋が意外と美味しい。  朝食を終えると、オレリアは外に出て畑や花壇の世話をする。  それから王城の付属棟にある一室で授業を受ける。付属棟に行くために迎えなんてはこない。オレリアはメーラに付き添われて付属棟へと向かうが、メーラは中に入れない。  そこでオレリアはプレール侯爵夫人からみっちりと教育を受けるのだ。  日が大きく傾き、影が長くなるような時間になってから解放される。小屋に戻るときはメーラが迎えにくるときもあるが、他の仕事が忙しく手が離せないときは、オレリアは一人で帰る。  王城の敷地内であるしオレリアを襲うような者もいないだろう、というのが関係者の考えらしい。いや、オレリアであれば襲われてもいいと思っているにちがいない。  昨日はじくじくと背中が痛んでいるなか、一人で帰ってきたからメーラに気づかれなかった。
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