第二十四話

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 誰もが利用でき、一日中開いている大きな食堂は、国も資金を出しているため安く食事をすることができる。  そのほかにも、特別なときに利用するようなレストランも何店かあった。 「はい」  ガイロの街の面白いところは、住んでいる区によって、それぞれ何を求めているかがわかるところだろう。二区に雰囲気のよいお店が多いのは、単身で暮らしている者が多いというのも理由だ。そのためここは、夜間になると見回りの兵も多い。  それに引き換え三区は、子どもが集まるような場所には兵を多く配置するものの、夜遅くに出歩く人も少ないため、夜間の見回りは一区や二区と比較しても手薄になる。 「ここのレストランなら、お前も気に入るだろうと思ってな」  煉瓦造りの建物は、黒い窓枠がアクセントになっている。窓から見える内装は茶系統で統一され、どことなく落ち着きがある。
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