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はっきりいって、アーネストはどこのレストランが美味しいとかどこの茶店が有名だとか、そういった情報に疎い。恥を忍んでジョアンに尋ねたところ、彼が「奥様とのデートにぜひ」と喜んで教えてくれたのがこの店なのだ。普段から仕事のお供のおやつをまめに買っているような人物は、やはりこじゃれた店に詳しかった。
「アーネストは、なんでも知っているんですね」
ジョアンから教えてもらったことは言いたくなかったため、笑ってごまかした。
店内に入ると、じゅっと肉の芳ばしいにおいが食欲を刺激する。品のいい店員に案内され、窓際の席へと座る。
「食べたいものはあるか?」
アーネストが尋ねると、オレリアは恥ずかしそうに頬を染める。
「遠慮する必要はない。たまには、こうやって外で食べるのもいいだろう。いつもお前にはご飯を作ってもらっているし」
「……デザートを食べたいです」
アーネストはひくりとこめかみを動かした。
「わかった。デザートも頼むが、きちんと肉も食べろ。いつも思うのだが、食べる量が少なくないか? お菓子ばかり食べていないか?」
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