第二十四話

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 出会ったときから彼女は食の細い子だと思っていた。それは十二年経った今も、あまりかわっていない。だけど、焼き菓子は好きでよく食べている。そこから、なんとなくジョアンと同じ雰囲気を感じ取った。  むしろ、ジョアンにオレリアが菓子好きであると知られてはならないような気がした。  そんなジョアンは、オレリアとリリーが同一人物であるとは気がついていない。それだけがせめてもの救いである。 「でしたら、アーネストもきちんとお野菜を食べてくださいね」 「うっ」  野菜は嫌いではないのだが、積極的に食べたいとは思わない。年を取るとさっぱりしたものが食べたくなると族長も言っていたが、まだアーネストはその域に達していない。  そうやって話をしながら、二人はちょっとしたコース料理を頼むことにした。  料理が運ばれてくるたびに、オレリアはなんの料理か、どこの料理かを熱心に聞いていた。ゆっくりと時間をかけて食事を堪能し、デザートまですっかりと食べ終えたころには、店内の客もまばらになっていた。 「他に、何か見たいところとかあるか? ドレスが欲しいとか、焼き菓子を買いたいとか」
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