253人が本棚に入れています
本棚に追加
オレリアの反応を見ていたら、ドレスよりも焼き菓子が欲しいというのがわかった。
「これからお前の誕生日には、年の数だけ焼き菓子を贈ったほうがよさそうだな」
冗談で言ったつもりなのに、オレリアは「楽しみです」と返してきた。つまり、二十一歳の誕生日には二十一個の焼き菓子を贈らなければならない。まだ先の話ではあるが、忘れないように、と心の中できつく誓う。
アーネストも戦術は苦手ではないのだが、オレリアだけは読めなかった。十二年間も放置して、嫌われて別れる覚悟をしていたのに、目の前に彼女がいる。その彼女は、ありがたいことにまだアーネストを好いている。
トラゴス国との戦いよりも、オレリアを攻略するほうが難しいのかもしれない。だからこそ、彼女から目が離せなかった。
ジョアンから聞いていた菓子店に向かおうとしたが、アーネストは行き先を変更することにした。
「オレリア、悪いが付き合ってくれないか?」
どこに? とでも言いたげに、彼女は首をこてんと横に倒す。
最初のコメントを投稿しよう!