第二話

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 近頃、城内がなんとなくピリピリしているのを、幼いながらオレリアも感じ取っていた。兵士の数が多いとか文官が慌ただしく行き交っているとか。  プレール侯爵夫人も、蛮族がどうのこうのと、授業の合間にぼやく。  大陸には大小合わせて六つの国があり、その中でももっとも権力が強いのがトラゴス大国である。そして二年前、この大陸に七つ目の国ができた。どこの国にも属していなかった部族が手を結び、一つの国を形成したのだ。それがハバリー国である。  それらが少数の部族のままであれば、トラゴス大国だってこれほどまでに反応しなかった。だが、小さなものが集まって大きくなれば、それなりに驚異となる。  トラゴス大国以外の五つの国は、いつの間にかハバリー国と友好的な協定を取り付けていた。十以上の部族からなるあの国はまだ統一性がないものの、さまざまな文化をまとめた国は非常に興味深く、大陸にとっても新しい風を吹かせる国となるだろう。というのが、諸国の考えだった。  ハバリー国はこれ幸いに、協定を結んだ諸国に教えを乞い、日に日に成長を見せている。
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