第二十五話

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 アーネストに夢中になっていた。人の気配を感じたときには、オレリアはすでに短剣の先を向けられていた。 「クワイン将軍。残念でしたね。もう少しだったのに」  やはり、先に襲ってきた三人は囮だったのだ。  オレリアの顎下に向けて短剣をつきつけているのは、金髪の女性。オレリアはひるむことなく、しっかりとその女性を睨みつける。 「オレリア様を返してもらいます」 「プレール侯爵夫人……」  オレリアの声に、金髪の女性が身体を震わせる。 「私のことを覚えてくださって光栄です。やはり、トラゴス国にはオレリア様しかおりません。トラゴス再建のためには、オレリア様のお力が必要なのです」  彼女がこんなふうにオレリアに声をかけたことがあっただろうか。いや、一回だけあった。父王から呼び出されたとき。  いつもは乱暴に声をかけ、鞭を振り上げていた記憶しかない。 「トラゴス国にはすでに新しい王がおります」  オレリアは落ち着きを払った声でそう言った。 「何をおっしゃっているのです。今の王は偽りの王。トラゴスを本来の姿に戻すためにも、オレリア様の力が必要なのですよ」  猫なで声のプレール侯爵夫人は、虫唾が走る。
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