第二十五話

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「あの男がしたように、王の首をすり替えるのです」  ゴクリとアーネストの喉元が上下する。オレリアは真っ直ぐに彼を見つめる。だけど、その彼の背後に一人の男が近づく。 「アーネスト!」  アーネストの周囲だけ、ひゅんと空気の流れが乱れる。三人目の捨て駒が、アーネストの背後に向かって剣を振り上げたのだ。彼は振り返りもせずに、手にしていた長剣を後ろに突き刺した。  醜い声が響く。 「さすが闘神のクワイン将軍ですわね。そうやって顔色一つ変えずに、陛下と王太子殿下の首も落としましたね」  え?  オレリアの憂いた唇は、声を出さずにその形を作った。 「やはり、オレリア様はご存知なかったのですね? クワイン将軍がマッシマ公爵と手を組んで、陛下と殿下を討ったのですよ。まったくオレリア様。なんのために、あなた様をハバリー国へ嫁がせたと思っているのですか? あの男を殺すためですよ」  オレリアは、いやいやと駄々を子どものように、激しく首を振る。  それでもプレール侯爵夫人は言葉を続ける。 「あなたをハバリーに捧げて、ハバリーを落とそうとしたのに……。あの男がすぐに兵を挙げたから、失敗に終わりましたけれども」
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