第二話

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 しかし、所詮は野蛮の塊である。大陸の中でもっとも歴史の長いトラゴス大国から見れば、嫌悪の対象ともなる。それでも諸国がハバリー国を認めている以上、トラゴス大国も歩み寄らなければならない。  と、プレール侯爵夫人が、忌々しそうに教えてくれたのだ。  近頃、プレール侯爵夫人の機嫌が悪いのは、このハバリー国に原因があるようだ。  授業の合間にぼそぼそとこぼすプレール侯爵夫人の言葉を要約すると、ハバリー国をトラゴス大国に取り込むためには、人質として誰かを嫁がせるとか。その誰かが誰になるのかで、国の偉い人たちは頭を抱えているとか。  第一候補は、王女であるミレイアだろう。  だがミレイアはそれを拒絶している。となれば、マッシマ公爵令嬢ではどうかという意見もあるようだ。マッシマ公爵は、現国王の弟にあたるため、マッシマ公爵令嬢とミレイアは従姉妹同士。その従姉妹たちが、互いに互いを譲らないらしい。身分的にはミレイアのほうが上であるが、マッシマ公爵令嬢もなかなか負けていない。
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