第二十六話

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 ハバリー国の国境の街、ガイロはスワン族が多く住む街である。しかしスワン族も二極化し、トラゴス国からの攻撃に備えるためにハバリー国軍が投入され、他の部族たちも多く住むようになる。彼らにもハバリー国を守りたいという気持ちがあったのだろう。  国境では小競り合いが続き、トラゴス国内でも争いが続く。特にトラゴス国内の情勢は悪くなるばかりで、王弟でもあるマッシマ公爵を新しい王に、という話もちらほらと上がり始めた。  もともと前王が王位につくときも兄か弟かと二つの派閥に別れ、弟が手を引いた形になったのは、無駄な争いをしたくなかったからだと、一部ではささやかれている。  しかし、争いを避けた結果がこの状況となれば、マッシマ公爵も意を決したようだ。  そして彼が目をつけたのがハバリー国であった。  ハバリー国には、第二王女が嫁いでいる。それにもかかわらず、スワン族と手を結んだトラゴス国は何度も兵を挙げている。そこをうまく利用できないかと考えた。  極秘裏にマッシマ公爵はハバリー国軍のアーネストと接触し、その二つは手を結ぶ。
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