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第三話
「そこに座れ」
国王が顎でしゃくった先にある二人がけ用の椅子の隅っこに、オレリアはちょこんと座った。
「縁談だ。もちろん、お前のな」
声が出そうになったが、それを呑み込んだ。ここでオレリアの発言は許されない。黙って話を聞くのみ。
「よかったわね、オレリア」
金色の髪をふんわりと揺らして、姉のミレイアが馬鹿にした様子で笑う。その隣で兄でもある王太子も、にやにやと不気味な笑みを浮かべている。
本来であれば、先に縁談がくるのは姉のミレイアのはずだ。それに今、ミレイアにはハバリー国との縁談があり、彼女がそれをよく思っていないことをオレリアは知っている。にもかかわらず、ミレイアの機嫌がいいのが気になった。
「お前には、ハバリー国のクワイン将軍に嫁いでもらう。ハバリー国の建国に一役買った人物だ。闘神とも呼ばれ、国王からの信頼も厚い。それに、あの荒れ狂う蛮族たちをまとめているのも、国王よりもクワイン将軍という話だ」
国王の声に、他の三人は薄ら笑いを浮かべている。
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