第三話

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「ハバリー国は建国されて二年だが、さまざまな部族から成り立っている国であるため、勢いがある。ハバリー国と協定を結んだ国も多い。だから我が国は、王女を差し出すことにした。トラゴス大国の王女の嫁ぎ先としては、十分だろう? 国内の寂れた貴族に嫁ぐよりも、恵まれているとは思わないか?」  政略結婚と呼ばれるものである。オレリアの母親だって、それのせいでこのトラゴス大国に嫁いできたのだ。ただし、側妃として。  オレリアの母親は、シーニーという小さな国の王女であった。今となっては、ハバリー国よりも小さな国になっているかもしれない。 シーニー国は花によって生計を立てている小さな国。生花はもちろんのこと、花の加工品、そして花の蜜。それらを売って資金にしていた。  だけどある年、大干ばつによってその花のほとんどが枯れてしまったのだ。花を売って金を作っていた国から花が消えたら、その生活は貧しいものになる。  そんなシーニー国はトラゴス大国から援助を受けたいがために、王女を差し出した。オレリアの母親は、美姫として大陸内に知れ渡っており、トラゴス国王もまんざらではなかった。
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