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猫なで声を出す王妃は不快である。王妃は、オレリアの母親とはまったく似ていない。丸い顔も、ふくよかな身体も、オレリアの母親とは正反対の姿である。
「しばらくはこちらで、花嫁となる準備に励みなさい。まぁ、あそこは蛮族の集まりですから、あまり礼儀にはうるさい国ではないと思いますけどね」
真っ赤な唇が、不気味に弧を描く。
「王妃さまのお心遣い、ありがたくちょうだいいたします」
オレリアの言葉を聞いた王妃は、満足そうに微笑んだ。
どちらにしろオレリアの意見なんて聞き入れてもらえないのだ。だったら、彼らの言うことを素直にきいたほうが、精神的にも体力的にも、無駄がなくてよい。
その日のうちから、王城の一角にオレリアの部屋が与えられた。
場所がかわっても、相変わらずメーラが侍女として側にいてくれる。それだけが、オレリアにとっては心の支えとなっていた。
「オレリア様」
目頭に涙をためて、メーラがひしっと抱きしめてきた。
「オレリア様はまだ八歳ですよ? それなのに、ハバリー国に嫁ぐだなんて……」
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