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アーネストは、ガイロを拠点とし国内のあらゆる場所へと足を向けているようだが、いつ、どこへ、何をしに行っているのか。オレリアにはさっぱりとわからなかった。それゆえ、いつ、彼が首都に戻ってくるのかも。
「オレリアも二十歳になったから、兄さんからのお祝いの言葉ではないのかしら?」
ハバリー国では十八歳で成人とみなされる。だけど年齢の十の位が一つ上がるのは、特別感があふれる年齢でもある。
「そうだといいのですが……」
呟いたオレリアであるが、彼女もそうであってほしいと願っていた。
アーネストが誕生日と年齢を覚えていた事実だけで、胸が張り裂けそうなほどの喜びに包まれる。
「オレリアが二十歳になったのであれば、兄さんも四十ね」
ふふっと、マルガレットはいたずらっこのように笑った。やはり、年齢の十の位が一つ上がるのは、別格のようだ。
「はやいものね。オレリアがここに来て、もう十二年も経つのね」
マルガレットの言うように、オレリアがトラゴス大国からハバリー国に嫁いで、十二年になる。
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