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「だけど、ハバリー国よ? 国内の貴族に嫁ぐとは違うの。メーラだって、知らない土地に行くのは不安でしょう?」
「だからです。オレリア様にとっても知らない土地ですよね? でしたら、その不安を二人で分け合いましょう」
メーラの言葉が嬉しかった。
「メーラはどうしてわたしに優しくするの?」
「オレリア様が、私の仕えるべき主だからです」
それ以上、彼女は言わなかった。
それからオレリアの生活は一変した。
艶が出るまで髪をすかれ、かさかさになっていた唇もみずみずしくなる。荒れていた指先や、日に焼けた肌にも、たっぷりと化粧水やらなんやらを塗り込まれる。その様子をメーラはしっかりと見ていて、他の侍女から学び取ろうとする様子が見えた。
そうこうしているうちに、オレリアがハバリー国へと向かう日がやってきた。
太陽のような色合いのドレスは、幼いオレリアを一段と大人っぽくしあげた。それでも、背が高くなるわけでもないし、胸もお尻もいきなり育つものでもない。表情は大人びていても、体つきはどこからどう見ても子どものもの。
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