246人が本棚に入れています
本棚に追加
/242ページ
「古い城だが、その分、造りはしっかりとしているし、中も快適で過ごしやすいはずだ」
オレリアが案内されたのは、王城の本館と回廊でつながっている離れの館であった。
「ここが、陛下が俺たちのために整えてくれた部屋だ。だが、俺はまだ向こうで寝泊まりをする。やることが多くてな」
「……はい」
アーネストの顔を見上げて、すぐに視線を逸らす。
彼は、花嫁がオレリアでがっかりしているのだ。誰だって、がっかりする。何よりもオレリアはまだ子ども。
彼のような立派な男の花嫁が、たった八歳の子どもなのだ。
誰がどうみたって、おかしな話である。
「わたしのような者で、申し訳ありません……」
くしゃりと、頭を大きな手がなでた。
「俺もお前には聞きたいことがたくさんある。だが今は、それを問いただすつもりはない。とにかく、ゆっくり休んでくれ……メーラ殿……」
「は、はい……」
「俺の花嫁を、よろしく頼む。俺は、本館のほうにいる。用があるなら遠慮なく来てもらってかまわない。夕食はダスティン……陛下たちと一緒にとることになるが、それは問題ないか?」
「はい……閣下のお言葉に従います」
最初のコメントを投稿しよう!