246人が本棚に入れています
本棚に追加
/242ページ
第五話
オレリアは晩餐用のドレスに着替えた。夜空のような濃紺のドレスで落ち着いた色合いだが、袖やスカートにはフリルがたっぷりと使われていて、胸元には大きなリボンが飾り付けてある。大人と子どもの狭間のような雰囲気を醸し出していた。
コンコンコンと遠慮がちに扉が叩かれた後、部屋に入ってきたのはアーネストだった。やはり彼は、先ほどと同様、軍服姿である。
「オレリア王女殿下。迎えにきた……」
そう言ったアーネストは、オレリアの全身にじっくりと視線を這わせてから、目を細くする。
「思うのだが……あまり、子どもらしくないな……八歳と言っていたな?」
「え?」
「いや……ミルコ族の子どもは、もっとこう……騒がしい」
「それは、オレリア様がトラゴス国の王女だからです。いかなるときも王女としての振る舞いをと、幼い頃から教育されておりますから……」
はっとしたメーラは口元を押さえた。
「出過ぎた真似を……申し訳ございません」
最初のコメントを投稿しよう!