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第六話
食堂には、カトラリーの音が静かに響いていた。大人が五人もいるというのに、誰も喋らない。黙々と食事を口に運ぶだけ。
だが、この空気に嫌気がさしたダスティンが「くそったれが」と暴言を吐く。
「親父。子ども相手にムキになってるんだよ」
「ふん。お前はあれを見て、何も感じないのか? ハバリー国は馬鹿にされたのだぞ? ここに来る予定の花嫁は、少なくともあんな子どもではなかったはずだ。親書には十八歳と書いてなかったか? あれはどこからどう見ても十八には見えないだろう」
「八歳だ」
沈黙を貫いていたアーネストがそれを破った。
「アーネストはいいのか? 馬鹿にされたままで」
族長は目を充血させている。よっぽど、腹が立ったのだろう。
「俺は馬鹿にされたとは思っていない。少なくとも、彼女の見た目は子どもだが、考えは俺たちよりもしっかりしている。自分がここに来た意味を、ここにいる誰よりも理解しているだろう」
それに……と言いかけて、アーネストはグラスを煽った。
彼女の小さな手を繋いだとき、その手の皮がミルコ族の女性と同じ感じがしたのだ。少なくともあの手は、土いじりの大変さを知っている手である。
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