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「仮に、オレリアをトラゴスへ返してみろ。それを理由に、大国は兵をあげる。そうならないために俺がこの縁談を受けたのを、族長も知っているのでは?」
「そうだよ、親父。本来であれば私に来た縁談。だけど、私はすでにマルガレットと結婚しているし、ハバリー国は一夫多妻を認めていない。だからアーネストを相手にと言ったのは親父だろうが」
だからそれを理由に花嫁を変えてきたのかもしれない。
トラゴス国はハバリー国王の側妃の座を狙っていた。だが、それはハバリー国内では法律によって認められていない。そのためアーネストがその話を受けたが、それがトラゴス国にとっては不本意であったのだろう。
ふん、と荒々しく鼻から息を吐いた族長は、一気に酒を飲み干した。そしておかわりの酒を、瓶からグラスに自ら注ぐ。
「とにかく、俺はオレリアと結婚をする。俺と婚姻関係にあったほうが、彼女を守れるだろう」
守るとアーネストが言ったときに、ダスティンは大きく目を見開いた。
「守る……いったい、何から彼女を守るというんだ?」
「彼女は子どもだ。子どもを守るのが大人の役目だ」
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