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アーネストの手紙には、いったいどのような内容が書かれているのだろうか。
彼とは十二年前に別れたきり。オレリアは、ずっと彼を待ち続けていた。
結婚したから――
それだけが理由ではない。
確かにあのとき、彼を好いていた。それが、憧れなのか、尊敬なのか、愛情なのか。なんと呼ぶのが正しい感情であるかはわからない。ただアーネストと家族になれた喜びを、誰よりも強く噛みしめていたのだ。
だから彼がガイロの街へ行くと言ったときも、彼から与えられた言葉を信じて待てると思った。
――次にアーネストさまとお会いする日には、立派な淑女として振る舞えるよう、努力いたします。
そう言って見送ろうとしたとき、アーネストの大きな手はゆっくりとオレリアの頭をなでた。
――楽しみにしている。
彼の言葉を胸に刻み、ダスティンとマルガレットの側で、この国にとって必要なことを学んだ。
覚えることが多くて、根をあげそうになったときもあった。そんなときはアーネストに会える日を思い描き、けして弱音は口にしなかった。
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