第六話

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 となれば、この結婚は認められたものとなる。  そしてこの場所は、オレリアにとっても安全な場所になるだろう。  そんな考えも呑み込むかのようにして、こってりとした肉もゴクリと飲み込んだ。  食事が終わり、アーネストは本館の三階へと足を向けようとして、やめた。アーネストもそこに私室をかまえている。  しかし、オレリアの様子が気になっていた。先ほどの族長は大人気ないだろうとアーネストも思っていたのだ。  あの場で彼女を追いかけて慰めるべきだったか。  そう考えたが、彼女は全身でそれを拒んでいた。  だからアーネストはあの場に残り、族長を納得させることに注力した。その結果がよかったのか悪かったのか、わからない。だけど、この馬鹿げた結婚を認める者の存在を知ったのは、心強いだろう。  空はすっかりと闇に飲み込まれ、天窓から見える空には、星が数個輝く程度。
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