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「だったら、何も問題はない。それに、お前をトラゴスに追い返すようなこともしない」
彼女の大人びた表情が、ゆっくりと崩れていった。
「俺は、お前を守るから、安心してほしい」
「守る? いったい何から?」
「わからん。だけど俺は、お前を守りたいと思った。迷惑か?」
ふるふると首を左右に振る姿だけは、子どものように見えた。いや、彼女はまだ子どもである。
「マルガレットもシャトラン様――陛下の母親も、お前の味方だ。人質のようにハバリー国へとやってきたお前を案じている」
「人質……それは間違いないと思いますが、わたしには人質としての価値はないかもしれません」
その言葉がしっくりとこなかったが、今、彼女に問いただす必要もない。まだハバリー国に来て一日目。移動だけでもだいぶ疲れただろうに。
「今日はゆっくりと休め。湯につかるか?」
ゆったりと風呂に入れば、疲れもとれる。
「部屋はすべて見て回ったか?」
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