第七話

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 ドレスのまま食事をするのも、オレリアにとっては気が引き締まる思いだった。さらに、ナイフとフォークを使わず、手づかみで食べる料理も多い。そういった食べ物は逆に苦手である。  スープを少しずつ口元に運ぶオレリアに気づいたアーネストは、大きな骨付きの肉塊から、食べやすいようにと肉だけをそぎ落とした。それをさらに細かく切って、オレリアの皿に取り分けてくれる。  驚いて彼を見上げると「これは、ミルコ族の祝いの席で出される伝統的な料理だ」と言う。  ギトギトとした油で覆われているような肉であるが、食べてみると見た目と違って意外とさっぱりしていた。もう一口、もう一口とフォークを運んでいるうちに、皿の上の肉はなくなっている。  視線を感じてアーネストに顔を向けると、彼は慌てたように顔を逸らし、ダスティンに向かって声をかけていた。 「アーネスト殿」  広い食堂でも、通るような張りのある声。 「お相手がそのような子どもでは、世継ぎの問題があるのでは?」  オレリアは身体をピクリと震わせてから、口元へ運ぼうとしていたフォークを途中で止めた。 「世継ぎの問題? それは、私に言っているのか?」
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