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トクンと心臓が大きく音を立てた。その次に何を言われるのか、それがオレリアにとって望まぬ答えであることも瞬時に察した。
「お前はここに残れ。族長に後見人を頼んである」
「アーネストさま……」
「お前の身柄は保障されるから、安心しろ」
そうではない。身柄の保障なんて望んでいない。ただ、アーネストと共にいたかった。
だけど、それを言葉にするにはまだ幼すぎるのもわかっている。
その日は、式の疲れを取るかのように、ふたりはぐっすりと眠った。
次の日の朝、アーネストは部下を引き連れてガイロの街へと向かった。
「次にアーネストさまとお会いする日には、立派な淑女として振る舞えるよう、努力いたします」
「楽しみにしている」
アーネストの大きな手が、オレリアの曙色の髪をやさしくなでた。
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