第八話

5/10

246人が本棚に入れています
本棚に追加
/242ページ
 そしてオレリアは、ガイロの街へいるアーネストに手紙を書いた。会えないのであれば、やはり手紙くらいで近況を知らせたい。  後見人となったデンスが、オレリアから「お義父さま」と呼ばれたがっていたことを書いてみた。だけど、これでは自惚れになってしまうだろうかと思い、メーラに相談する。 「気にする必要はないと思いますよ。オレリア様がどう思ったかを素直に書けば、閣下も喜ばれると思います」 「そうなの?」  考えてみたら誰かに手紙を書くのも初めてのこと。うまく書けたかどうかはわからない。だけど、メーラの言葉を信じて、オレリアが思ったことを素直に書いた。  だけど、いつまで待ってもアーネストからの返事はこなかった。  アーネストと結婚して一年が経った。オレリアは九歳になった。この一年間、オレリアはハバリー国の国民としての振舞い方を学んだ。  特にミルコ族は、アーネストが言っていたように、自分のことは自分でやるというのが基本精神である。  それから、もう一つ。ミルコ族の伝統を教えてもらった。それは王妃となったマルガレットも例外ではなく、国王のダスティンもそれに則っている。
/242ページ

最初のコメントを投稿しよう!

246人が本棚に入れています
本棚に追加