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こうやってダスティンが無理矢理に話を切り替えるのは、オレリアには聞かせられないと判断したためだろう。ダスティンの気持ちを無視してまで、その話を聞きたいとは思わない。
十二年前のあの日。ハバリー国に嫁いだことで、トラゴス国とは縁が切れたと思っている。
結婚式にもこない、それ以降の連絡がない。今となっては、それでよかったのだ。
「アーネストとオレリアのことだ。アーネストは、もうしばらくガイロの街にいる。私が命じたからな」
「わたしとの離縁は、陛下が命じたことではないのですか?」
「な、な、な、な。何を馬鹿なことを言っている。アーネストがオレリアと離縁を考えていただなんて、私も知らなかった。むしろ、戻ってきたら特別に長い休暇をやるから、新婚旅行にでもいってこいと、先日の報告書の返事に書いた」
ダスティンのこの慌てようを見ていれば、その言葉は真実なのだろう。
結婚してから十二年後の新婚旅行だなんて、聞いたことがない。想像しただけで顔がにやけるようなとても嬉しい話だというのに。
「だったら、なぜ兄さんはオレリアとの離縁を……?」
マルガレットが顎に手を当てて、う~んと考え込んだ。
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