第九話

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 こうやってダスティンが無理矢理に話を切り替えるのは、オレリアには聞かせられないと判断したためだろう。ダスティンの気持ちを無視してまで、その話を聞きたいとは思わない。  十二年前のあの日。ハバリー国に嫁いだことで、トラゴス国とは縁が切れたと思っている。  結婚式にもこない、それ以降の連絡がない。今となっては、それでよかったのだ。 「アーネストとオレリアのことだ。アーネストは、もうしばらくガイロの街にいる。私が命じたからな」 「わたしとの離縁は、陛下が命じたことではないのですか?」 「な、な、な、な。何を馬鹿なことを言っている。アーネストがオレリアと離縁を考えていただなんて、私も知らなかった。むしろ、戻ってきたら特別に長い休暇をやるから、新婚旅行にでもいってこいと、先日の報告書の返事に書いた」  ダスティンのこの慌てようを見ていれば、その言葉は真実なのだろう。  結婚してから十二年後の新婚旅行だなんて、聞いたことがない。想像しただけで顔がにやけるようなとても嬉しい話だというのに。 「だったら、なぜ兄さんはオレリアとの離縁を……?」  マルガレットが顎に手を当てて、う~んと考え込んだ。
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