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「それは……私も知らん。ただ、アーネストのことだからな。何を考えているかさっぱりわからん」
「まあ、兄さんって。ああ見えて朴念仁なところもあるし」
「まあ、見るからに朴念仁だろ」
身内から朴念仁、朴念仁と言われているアーネストだが、オレリアはそうは思っていなかった。とはいえ、彼と共に過ごした時間は、ほんの少しの時間。
夫であるアーネストと過ごした時間よりも、ダスティンやデンスと一緒にいる時間のほうがはるかに長い。
「……まさか、他に女ができた、とか。いやいや、あのアーネストだ。そんなことはあり得ないだろう」
ダスティンがすかさず否定したのは、マルガレットとシャトランがものすごい形相で睨んだためである。デンスですら、こめかみをひくひくとさせた。
だけど、ダスティンの言葉もあり得ない話ではないだろう。
結婚したと言っても、その相手が当時は八歳の子どもだったオレリアなのだ。そこからずっと離ればなれで、名ばかりの夫婦。
健全な男であれば、女性を求めることだってあるかもしれない。その女性に本気になるかもしれない。そういうこともあるかもしれない。
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