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「オレリアがオレリアだと気づかれないようにして、兄さんの様子を見に行けばいいわ」
「そんなこと、できるわけ……あ、できるか?」
ダスティンにもその案に心当たりがあるようだ。まさかオレリアに斥候の真似事をしろとでも言うのだろうか。
「オレリア。ガイロにはね、兵士や街の人たちが利用できる大きな食堂があるの」
たったそれだけで、デンスもシャトランもマルガレットの言いたいことを理解したようだ。
「そこの食堂で給仕として働いたら、兄さんの様子が探れるんじゃない?」
「儂は反対だ。オレリアをそんな危険な場所に……」
「あら、あなた。ガイロの食堂は危険な場所なんかではないわよ。ダスティンの目も届く場所ですし」
「違う。儂の目の届かぬ場所にオレリアが行くのが危険なんだ……」
過保護、とダスティンがぼそりと呟く。
「過保護? そうではない。アーネストがオレリアを放っておくから、オレリアをアーネストと別れさせて他の者と結婚させろという話が出ているのを、お前だって知っているだろう? その話を必死で食い止めていたのは、儂じゃ」
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