第九話

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 オレリアの身体はピクリと震えた。知ってはいたが、こうやって実際に聞いてしまうと、アーネストとの仲を認められていないような気がしてくる。 「お義父様。だから、オレリアがオレリアとバレないようにすればいいのですよ。名前を変えて髪の色も変えて、ちょちょいと……。食堂の働き手として潜り込ませることくらい、あなたなら容易いでしょう?」 「まあ、な。……ふむ。その手でいこう。オレリアをガイロの食堂で働かせて、アーネストの様子を探る。アーネストに不審な動きがあったら、オレリア。きっぱりと諦めてアーネストと別れろ。むしろそんな男は、オレリアの夫としてふさわしくない。私がそう判断する」  話が変な方向に流れてきた。オレリアとしてはアーネストと別れるつもりは毛頭ない。今まで一緒にいられなかった時間を取り戻すように、濃厚な時間を過ごしたいとそう思っているのに。  だけど、ガイロの街の食堂で働きながら、アーネストの様子を確認できるのはちょっと面白いかもしれない。  アーネストはオレリアに気づいてくれるだろうか。そしてアーネストは、どんなふうにかわっているだろう。  少しだけ、オレリアに笑顔が戻った。
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