第十話

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第十話

 ハバリー国、国境の街ガイロ。ここには、主にスワン族が住んでいたが、ハバリー国となって十年以上が経ち、人々の行き来もあって、スワン族もばらばらとなりガイロの人口の三分の一以下になってしまった。  アーネストがガイロの街へ来て十二年。つまり、オレリアと結婚して十二年が経ったわけだが、彼女とはあれから一度も顔を合わせていない。  いや、厳密に言えば、アーネストは一度だけオレリアに会いに行った。だけど彼女と言葉を交わしたわけではないし、オレリアはアーネストに気づいてもいない。アーネストがこっそりと遠くから見つめただけ。だから、互いに顔を合わせてはいない。  アーネストがオレリアに会に行ったのは二年前――彼女が十八歳になったときである。  ハバリー国では十八歳で成人とみなされる。  そのころ、ガイロの街の情勢はわりかし落ち着いており、アーネストの部下が『留守はまかせてください』と胸を張ったのもきっかけだった。  ガイロから首都サランまではどんなに急いでも三日はかかる。  幼い少女だった彼女が、どのような女性に成長したのか。  逸る気持ちとともに早馬を走らせて、ラフォン城へと向かう。
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