第十話

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 初めての手紙は、アーネストがここに来て二十日後に届いた。族長がオレリアから『お義父さん』と呼ばれたがっているという内容を読み、アーネストのときも同じようなことを族長が言っていたのを思い出した。  アーネストの父親はアーネストが生まれてすぐに、部族間のいざこざに巻き込まれて亡くなった。母親はアーネストをひとりで育てようとしていたが、族長が責任を感じたのか、引き取りたいと言ってくれた。  しかし母親とてアーネストは息子、アーネストを手放したいわけでもない。母親はラフォン城で清掃員として働いていたため、そのままアーネストは族長夫婦も我が子のように育ててくれたのだ。  族長夫妻の間にダスティンも生まれた。成長していくにつれ、アーネストは族長を支えられるような人物になりたいと、より鍛錬に励む。  母親が再婚したのは、アーネストが六歳のとき。相手は同じようにラフォン城に勤めている兵士で、族長の部下のような男だった。  そして二人の間に生まれたのがマルガレットで、マルガレットを一目見たダスティンが『この子をボクのお嫁さんにする』と言って周囲を驚かせた。
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