第十話

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 ――わたしには人質としての価値はないかもしれません。  そう言ったオレリアの言葉を実感するような、そんな情報であった。  気は急いたが、時間も時間。オレリアのことも気になっていたし、夜が明けてから出立した。  アーネストの動きが早かったせいか、ガイロに攻め入ろうとしていたトラゴス国は撤退したらしい。  トラゴス国内だってごたごたしているのに、ガイロを狙ったのは、やはりオレリアを嫁がせたのが理由だろう。彼女をハバリー国に捧げ、隙を作る。ハバリー国を味方にするのではなく、潰す選択をしたようだ。  だが、これでアーネストはガイロから動けなくなった。  いつ攻め入ってくるかわからないトラゴス国と、そちらへ寝返ろうとしているスワン族。二つの動きから、このガイロの街を守らなければならない。  そんななか、オレリアからの手紙が届いた。幼いながらも丁寧に書かれた手紙を読むだけで、緊迫した気持ちが緩んでいく。  返事を書こうと思った。だけど、やめた。  彼女を守ると言っておきながら、側にいることができない。守れないのであれば、突き放すのも一つ。
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