第十一話

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第十一話

 鏡に映る自分の顔を見る。襟足の長くなった青鈍の髪には、たまに白いものが混じるようになった。それを見つけたときには抜いている。  ――ブチッ。  先日、オレリアに手紙を送ってから返事がこない。返事がこないというのが、これほど不安なものであるとは知らなかった。もしかしたら、彼女もこんな気持ちになっていたのだろうか。 「閣下。お昼ご飯の時間です。食堂に行きますよ」 「お前か」  珍しく、ジョアンが食事に誘ってきた。 「だって、僕が誘わないと、閣下は食事に行く気がないですよね。今だって、行こうとはしてませんでしたよね? そして僕から逃げようとしてますよね? それよりも、きちんとご飯を食べてます? お酒ばっか飲んでません?」  副官よりも母親の称号をあげたいくらいだ。だが、こんな年下で口うるさい母親はいらない。 「うるさい」 「そうやって人の話を聞こうとしないってことは、図星ですね。って閣下、どうしちゃったんです? ここ最近、変ですよ? せっかくトラゴス国とスワン族のことが落ち着いたというのに」 「うるさい」 「はいはい。閣下はいつまでたっても大人げないですよね。僕のほうが大人じゃない?」
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