第十一話

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 国王夫妻ともっとも親しい女性。それがオレリアであり、彼女は今、ダスティンたちの子の家庭教師を務めている。また、他国との社交の場にも立ち会い、マルガレットをさりげなく助けていたとか。そのようなことがダスティンの手紙に書かれていた。  彼女には彼女にふさわしい相手がいる。  そう思っているのに、彼女を手放したくないと、心の底では訴えている。  オレリアの幸せを願うなら別れるべき。だけど――  そんな葛藤があり、あれからアーネストは酒に逃げるようになった。 「あ。やっぱり、この時間だと空いてますね」  昼食には少し遅い時間。ジョアンのことだから、わざとこの時間帯を狙って誘ってきたような気がする。  食堂は、誰でも利用することができる。ハバリー国の軍の拠点とする建物の前に別の建物があって、それが食堂なのだ。二つの建物は回廊でつながっているが、軍専用の食堂というわけでもなく、ガイロの街に住む者、訪れた者などが自由に利用できるようになっている。そのため、時間帯によってはものすごく込む。  ジョアンとアーネストが席につくと、給仕の女性がやってきた。 「やった。今日はリリーさんだ」
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