2人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
無能な男
私の前世は勇者です。
と、五千万年に一度のイケメン、俳優兼、小説家兼、外科医兼、剣道オリンピック金メダリスト所持者の、鏡坂炎垂(かがみざかえんすい)という名の男は、そう月曜深夜のバラエティ番組で話した。
それを見ながら、オンライン対戦の格ゲーをしていた、青年は。相手に切断され、ブチギレて、壁を台パンしていた。
青年「クソがよぉ…二十連勝中だったんだぞ、くそ…あ、やべ…あぁ、また台パンしちゃった…やべ、隣の人に怒られるかも…」
ごめんなさい…。
と、決して隣には聞こえない声量で、そう呟くと。
落ち着け、こんな時は夜風にあたるんだ。
素数を数えて心を落ち着かせよう…1、3、5、7、9、11…。
それは奇数である。
青年は、窓を開け、心の中で独り言をぶつぶつ言い始める。
なんか、オンライン、重いんだよなぁ、有線にしようかな…でも、いちいち、調べるのもめんどくせぇ…あぁ、脳みそ熱くなってきた、もう考えるのやめよう。
最初のコメントを投稿しよう!