無能な男

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無能な男

私の前世は勇者です。 と、五千万年に一度のイケメン、俳優兼、小説家兼、外科医兼、剣道オリンピック金メダリスト所持者の、鏡坂炎垂(かがみざかえんすい)という名の男は、そう月曜深夜のバラエティ番組で話した。 それを見ながら、オンライン対戦の格ゲーをしていた、青年は。相手に切断され、ブチギレて、壁を台パンしていた。 青年「クソがよぉ…二十連勝中だったんだぞ、くそ…あ、やべ…あぁ、また台パンしちゃった…やべ、隣の人に怒られるかも…」 ごめんなさい…。 と、決して隣には聞こえない声量で、そう呟くと。 落ち着け、こんな時は夜風にあたるんだ。 素数を数えて心を落ち着かせよう…1、3、5、7、9、11…。 それは奇数である。 青年は、窓を開け、心の中で独り言をぶつぶつ言い始める。 なんか、オンライン、重いんだよなぁ、有線にしようかな…でも、いちいち、調べるのもめんどくせぇ…あぁ、脳みそ熱くなってきた、もう考えるのやめよう。
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