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静かな馬の前で(3)
「……はぁ……う、うん……悪かった、悪かったって……マリア……な……泣かないでくれ……頼むからさ……ぉ、お前が泣いてるのが、俺は一番こたえるんだ……大事な、お前が泣いてるのを見るとな、胸が痛くて、痛くて……す、すまねぇ……ホントにすまねかった……俺、俺だって、お前が好きだ……お前がいい……お前以外なんて、考えられねぇって! う、嘘じゃねーよ……これはホントだ、け、けど……彼氏が出来たって、それをお前の口から聞かされて……で、俺は……お前のことを吹っ切ろうとして、お前と俺はあくまでも、そ、その……ただの幼馴染みだったんだって、そう考えようとして……自分に、そう言い聞かせるために……お前と会わないように、俺は……してたんだよ……お、俺が、感じ悪かったり、お前と城の中で話さねぇよーにしてたのは、そのためだったんだ……お前の……まぁ、その、し、幸せを第一にと思って……俺は、俺は……そぅだな、心を殺して、自分がいなくなればいい……お前を嫌おう、嫌おうって……そう、思おうとしてて……」
男の告白を受け、感情のかたまりになっている女・マリアは述べた。
「……ローちゃん、好きって気持ちを、あたしを殺さないで、いなくなればいいなんて、考えないでぇ……あたしは、ローちゃんと一緒じゃないと、幸せになれないぃぃ、ローちゃんが必要なの! ……あたしが悪かった! ローちゃんを傷つけてたんだね……あたしを許してぇぇ、悪かったのは、鈍いあたしの方なんだねっ……ごめん、ごめんねっ……許して、ローちゃん……彼氏のことは、ウソだからさぁ……あたしをローちゃんのお嫁さんにしてぇ……で……っ、そして、そしてさ……あたしと美容院やろう? ね……ローちゃん、父さんと母さんとあたしとローちゃんの四人で暮らそうよ……ね、ローちゃん……だ、だめ? ……あたしじゃ、こんなあたしじゃダメぇ!!??」
ローちゃん「……マ……マリア、お……俺を……こんな、捻くれ者の俺をお前、受け入れてくれんのか?」
マリア「ローちゃんはひねくれものじゃないよぉ……あたし、ローちゃんに愛されたい、離れないでほしい……」
ローちゃん「け、けど……お、俺はお前みてぇに誰かの髪を切ったりなんて、そんな芸当はできねーんだぞ。……美容院ったって……俺はお前の、店の役に立てねぇだろう……」
マリア「……そんなの、できなくてもいいの! 髪が切れなくてもいいのぉ! そばにいてほしいの! ちっちゃい頃から、こんなに好きなんだからぁ……もう、あたし離さないよぉ……ローちゃんを独りぼっちにしないからぁ……」
ローちゃん「!!!! ……ぁ、ああっあ、あああ……マリア、マ、マリアぁぁ……!!」
マリア「は、はうぅ……あぁぁ、しゅき、しゅきぃ、ローちゃんん……こうしてぇほしかったあぁぁ〜〜、しゅき、すき、好きいぃぃ〜〜ッ!! あはぁ、あああ〜〜〜っ、いい、しゅきぃぃぃ〜〜もうがまんできなぁぁいいぃぃ〜〜ッ!!!」
「……ヒヒ〜〜〜ン!」と、馬は抱きしめ合う二人を祝福した。
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