地震

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地震

 初めてのお勤め場所の7階で。  飛び降りを見た何週間後だっただろう。  大災害にはならなかったが、結構大きな地震が来たのだ。  私が仕事をしている技術部では、設計図を会社別あいうえお順にファイリングした大きなキャビネットがあったのだが、それがずれるほどの地震だった。  7階建てのビルの最上階と言う事もあったのだろう。  ものすごく揺れた。  私が経験した事の無いような揺れの地震だった。  パニックになってもよさそうなものだが、地震が起きている時には案外皆冷静で、女子の同僚が給湯室にガスを止めに行くのも見ていて覚えている。  しかし私は技術部の重いキャビネットを抑えようともしていた。  きっとその時点ですでにパニックに陥っていたのだろう。  キャビネットなんて、女子の力一人で抑えられるわけがないのに、無謀なチャレンジをしようとしていたのだ。  上司に 「キャビネットから離れろよ~。」  と、言われ、自分が結構なパニックになっている事に気が付いた。  思えば、ガスを消しに行ったのも同期の女子で私は見ていただけだった。  地震が収まった後、高層ビル群の方を見ると、免振設計がされている高層ビルは、その後30分ほど、ずっとグネグネと揺れていた。  あの中にいる人たち、大丈夫なのかしら?  そんな風に思えるほどにグネグネと動いている。  上司に 「○○さん。あれ。」  と、高層ビル群を指さすと、 「おぉ、揺れてるなぁ。中はどうなってるんだろうな。」  と答えた。  だって、あの揺れ方を見ていたら、デスクなど、振り子のようになっているのでは?と考えてしまう程の揺れだったのだ。  案外中は平気なのかな?と考えつつも、みているだけで酔ってしまうほど揺れている高層ビル群からは目を離し、ずれてしまったキャビネットを営業所に残っている女子全員と、技術部の男子二人でようやく元の位置まで押して戻し、普段の仕事に戻ったのだった。 【了】  
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