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3年後
中学生になり瑠花のことをみんなが忘れかけていた頃、僕は瑠花に再会した。
あれから3年も立っていた。
隣の瑠花たちが住んでいた家と土地がやっと売却できて、その手続きで帰る両親に瑠花もついて帰ってきていたのだった。
瑠花は大人の女性になっているように見えた。美しかった。
髪はショートにしていた。
僕は瑠花の住所を聞いて、これからは年賀状だけはお互い送り合うことになった。
実は、あの事件のあと、あのおじさんの母親は自殺をしている。そして父親も交通事故で死んでいる。
弟は精神疾患で入院中と聞く。
僕たちがしたことは、それだけでは終わらなかったことになる。
僕は日が立つにつれ気持ちは楽になると思っていた。忘れられると。しかし、そんな生易しいものではなかったんだ。
だから、お互いに年賀状を送り合うのは、まだ生きてるって確認し合う約束だった。
自殺しないでがんばろうって言う秘密の暗号みたいなもの。
それはすべて瑠花のアイデア。
たぶん、僕のことを思ってのことだと思う。
それでも高校に入ってから僕はとうとう壊れた。
心が悲鳴をあげた。
人生を捨てた。
それでも、年賀状を書くためだけに僕は生き続けた。
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