3年後

1/1

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ

3年後

 中学生になり瑠花のことをみんなが忘れかけていた頃、僕は瑠花に再会した。  あれから3年も立っていた。  隣の瑠花たちが住んでいた家と土地がやっと売却できて、その手続きで帰る両親に瑠花もついて帰ってきていたのだった。  瑠花は大人の女性になっているように見えた。美しかった。  髪はショートにしていた。  僕は瑠花の住所を聞いて、これからは年賀状だけはお互い送り合うことになった。    実は、あの事件のあと、あのおじさんの母親は自殺をしている。そして父親も交通事故で死んでいる。  弟は精神疾患で入院中と聞く。  僕たちがしたことは、それだけでは終わらなかったことになる。  僕は日が立つにつれ気持ちは楽になると思っていた。忘れられると。しかし、そんな生易しいものではなかったんだ。  だから、お互いに年賀状を送り合うのは、まだ生きてるって確認し合う約束だった。  自殺しないでがんばろうって言う秘密の暗号みたいなもの。  それはすべて瑠花のアイデア。  たぶん、僕のことを思ってのことだと思う。  それでも高校に入ってから僕はとうとう壊れた。  心が悲鳴をあげた。  人生を捨てた。  それでも、年賀状を書くためだけに僕は生き続けた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加