調子に乗りすぎるのはよくない

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調子に乗りすぎるのはよくない

 もう家は見えない。見えるのは地平線と、チーズだけだ。  随分前にやめようかと思ったけど、俺とチーズを信じて続けることにした。  どうせなら、地球一周とかしたい。もしかしたら高値で売れるかもしれないし。世界で何番目かの大金持ちになっちゃうかもしれない。世界のニュースに乗って、一躍人気者になれるかも……!  チーズをのばしながら、沢山夢を膨らませる。すると何かに引っ張られるように足が止まり、俺は手元を見下ろした。  メジャーの限界に到達していた。  俺はメジャーを放り投げ、再びチーズをのばして歩く。そこから先は、あっという間だった。  海を越え、山を越え、俺はチーズ片手に世界を渡り歩いた。やがて、目の前に出発地だった家が見えてきた。  本当に世界一周してしまった。  これを世界に伝えれば、一躍有名間違いなし……!  俺はまばゆい光に手を伸ばして、これからに期待を膨らませた──。
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