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「マジでバイト始めたんすか。で、週にどれくらいっすか?」
「火、水、あと土曜と日曜じゃけぇ、週4」
どうだ?俺、凄い頑張ってるだろ!誉めてくれて構わないんだぜ!とオーラを全開にする右松。
そのオーラが、とってもウザかったのだが、本井名は機嫌を取った。
「それって大変っすね。毎日五時半に起きるんすよね」
本井名が、そう言うと嬉しそうな感情を表情に出す右松。
さらに、誉めてくれアピールを続行。
「そうなんよ。じゃけえ、ほとんど寝れんくなるけぇ。ま、バイトでも仕事は仕事じゃけぇ、真面目にやるけどね」
「マジ凄っすね。俺には無理っすわ~。しかも、せっかくのノー残業日なのに、今日もバイトってマジ感心っすわ。」
本井名の言葉に、とても嬉しくなる右松。もう有頂天だ。
『どうだい?俺って頑張っているだろ。凄いだろ!もっと俺を誉めろよ。讃えろよ!』
そう言いたくなったが、言っては自分の凄さが薄れると感じた右松。
黙ったまま煙草をぷかり。
ただ、殴りたくなるほど、ご満悦の表情で本井名と高森にアピールは続けている。
その様子を見ていた本井名と高森。
『でも、それって自分が決めたことだろがっ!』
二人同時にそう思ったが、こちらもそれを口には出さなかった。
右松の機嫌を損ねると後々面倒くさいことを知っている本井名と高森は、何も言わず煙草を吹かしながら、愛想笑いで右松に合わせた。
この日も、いつものように平穏無事に仕事が終わった。
ノー残業デーの水曜日ということもあり、皆が足早に家路につく。
いつもと違ったのは、右松がこの後ガイオスへバイトに行くということだけだ。
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