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 そして再び奇妓栖の視線は桃太郎へ。視線は向けながら彼女は優男が座りやすいよう回転させたカウンター席に腰掛けた。 「それで? 一体何の用かしら? こんな騒ぎまで起こしてどういうつもり?」  当然の問い掛けをする奇妓栖の隣へ座った桃太郎はあの写真を取り出し彼女の前へ滑らせた。写真を手に取り視線を落とす奇妓栖は大きく表情は変えなかったものの少しだけ眉を顰めた。 「そう……」  奇妓栖は呟きながら胸前を通り過ぎさせた手で自分の肩に触れた。その写真だけで全てを理解した彼女の声は小さく真剣味を帯びている。 「少しだけ時間がいるわ」 「なら時間も遅い。今日はここに泊まって明日、出発しよう」 「えぇ。ホテルを用意させるわ。それとアタシのお気に入りのレストランも」 「悪いな。それと実はこの件を儂に持ってきたのはゴーラン王国軍だ。準備を手伝ってくれてる総司令部の人間がいる。大丈夫か?」 「別に元々、王国軍狩りなんて野蛮な事はしてないわよ。でも伝えとく」  そう言った後、奇妓栖は桃太郎に手を差し出して見せた。 「そこのがジジイから坊やになってるって事はアレがあるんでしょ?」 「誰が坊やだ」  真獅羅の反論を無視する奇妓栖に対し、桃太郎は袋をテーブルの上に置いた。 「懐かしい」  袋から一つ取り出した奇妓栖は二回に分けて口へ入れ吉備団子を食べ始めた。  すると真獅羅と違い苦しむ様子はなかったものの体から光を放ち、それが収まる頃にはすっかり若々しい姿へ。顔の皺も消え、肌にも張りが戻り、そこには臈長けた女性が座っていた。そのドレスも相俟って舞台に立ちスポットライトを浴びていても不思議はない容姿だ。
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