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「いらっしゃいませ」  中に入ると女性店員の明るい声が二人を出迎えた。時間帯もあってか店内にはお客がおらず座っていた店員は声を出しながら立ち上がり桃太郎の方へ。  すると店員は桃太郎の顔を見るや否や「あっ!」と言う表情を浮かべた。 「桃さん! 久しぶり」  より一層明るくなった表情のまま女性は桃太郎とハグを交わした。 「元気そうだな」 「もっちろん」  二の腕をアピールするように片腕を曲げて見せる女性の後ろでは、キッチンから男性が顔を覗かせていた。 「あっ、どうもお久しぶりです」  そんな男性へ片手を上げて挨拶を返す桃太郎。 「そっちの方は……軍人さん?」  桃太郎の後ろに立つ有真に気が付いた女性は彼の服装を見るとそう首を傾げた。 「ゴーラン王国軍総司令部の瀧野瀬有真と申します」  敬礼と共に自己紹介を慣れた口調でする有真。 「蓬莱亭ホール担当、神酒有紗です」  そんな有真に対し慣れない様子で敬礼を返す有紗。 「その旦那の哲也です」  更に奥から男性が付け足す様に続いた。  そして有真の方を振り返った桃太郎は有紗の肩へぽんっと手を置き分かり易い説明を加えた。 「有紗は婆さんのひ孫だ」
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